現在位置:asahi.com>サイエンス> 記事

「緑の黒髪」遺伝子あった 東大チーム、米学会で発表

2007年11月20日09時47分

 日本人などアジア系に多い「緑の黒髪」には、黒い、太い、直毛といった特徴があるが、そのうち太さに関係する遺伝子を東京大学の徳永勝士教授(人類遺伝学)、大学院生の藤本明洋さんらの研究チームが特定した。毛髪の形状に直接かかわる遺伝子が具体的に示されたのは、初めてだ。

 研究チームは脱毛症などと関係が深いとされる170の遺伝子に注目。国際データベースを使い、東アジア系、欧州系、アフリカ系で違いのある遺伝子を探したところ、東アジア系では2番染色体にあるEDARという遺伝子で、ある1カ所が特有の配列の人が多いことがわかった。

 直毛やくせ毛などばらつきが大きいインドネシアとタイで計186人の毛髪の形状とEDARの特徴を分析すると、東アジア系特有のEDARの人は、そうでない人に比べ毛髪の断面積が1.2〜1.5倍と太かった。

 EDARが作るたんぱく質は毛髪の根本にある毛包の形成に関係するほか、歯の形状にも影響する。太い毛髪の遺伝子をもつ東アジア人の祖先は同地域で生き延びる上で利点があったと考えられるが、毛髪の太さが直接、有利に働いたかどうかはわかっていない。

 徳永教授は「毛髪の特徴は病気との関係が薄いこともあり、これまで本格的な遺伝子解析が行われてこなかった。今後は身近な特徴にかかわる遺伝子についても研究が進むだろう」という。米人類遺伝学会で発表した。

PR情報

このページのトップに戻る